まつきよ税理士事務所

マンション管理組合向け

よくある質問

トップページ > マンション管理組合向け > よくある質問

よくある質問

マンション管理組合の税務について、よくある質問を挙げます。

Q1.申告・納税しなければならない収入はいくら以上ですか

収入や所得(収入から費用を引いた利益のこと)金額による判定基準はありません。すなわち、対象の事業(=収益事業)をしていれば納税義務がある、反対に収益事業をしていなければ納税義務はありません。

さて、収益事業に課税される税をその性質で分類すると大きく2つあります。ひとつは所得課税のものです。法人税・事業税・住民税(所得割)が該当します。所得課税は所得のうちの税率分が税額となりますので、所得が0円であれば税額は生じません。言いかえると、費用が収入を上回っていれば税額は生じません。収入が少ない場合には案外このケースが多いのではないかと思います。

もうひとつは住民税の均等割です。均等割は収入や所得にかかわらず定額です。地方税の一種なので自治体ごとに多少の差異がありますが、道府県民税が年2万円・市町村民税が年5万円の合計年7万円の自治体が多いです。

収入が少ない場合はこの均等割が悩みの種です。均等割があることにより、収入が少ないと場合によっては赤字(支出超過)になってしまうおそれがあるのです。もし所得課税だけであれば生じない問題なのですが、現行は均等割もありますのでこういった問題が存在します。

ということで、均等割の負担もクリアしたうえである程度の黒字を達成できなければ収益事業はしないほうがよい、収入50万円以上を見込めないようであれば収益事業はしないほうがよいのではないか、というのが私からの回答(提案)となります。

なお、均等割を含む住民税の課税要件はとても抽象的で必ず課税されるとも断定しきれないものです(いわゆる「事務所等」の範囲問題)。もし気になるようでしたら、総務省「地方税法の施行に関する取扱いについて」をご参照のうえ、道府県・市町村の担当課にご相談されてもよろしいかと思います。門前払いになりそうでしたら、その場合は首長あてに文書照会したほうがよいかもしれません。

(もくじに戻る)

Q2.今まで申告・納税していなかったがどうすべきか?

すでに期限を過ぎているにもかからわず申告していないことを無申告といいます。無申告はよくないことですから、期限を過ぎているとしても申告・納税すべきでしょう。まずは収益事業開始届を税務署に、その控えを道府県・市町村の担当課にそれぞれ提出しましょう。それを受けて各役所から指示があればそれに従えばよろしいかと思います。

収益事業開始届(外部リンク)

(もくじに戻る)

Q3.経費の範囲は?

経費の具体的な範囲について法令には定められていません。それなら何でも経費にしていいかというとけっしてそういうわけではないと思います。

まずは区分経理をしなければなりません。施行令において区分経理の義務が定められています。区分経理の考え方は国税庁の通達に挙げられています。収益事業として経理した費用が経費の対象となりえると思います。

収益事業として経理すれば何でも経費になるかというとそういうわけではないと思います。どういったものが経費になるか、ひとつ参考として国税不服審判所の裁決事例(平成31年2月15日裁決)(外部リンク)があります。

私見を述べますと、もし収益事業をしなければけっして生じない費用(=直接費用)は対象になりますが、それ以外(直接費用でないもの)は経費の対象にならない、もしくはもし対象としても少額となるためほとんど税額に影響しないことが多いのではないかと思います。

税務申告する段階で経費の範囲を考えると拗らせてしまうかた多い印象です。経費の範囲は区分経理の段階で判断を下し、税務申告はその経理した内容をもとに計算するようにしていただければと思います。

(もくじに戻る)

Q4.消費税インボイスの対応は?

駐車場を外部の事業者に賃貸する場合、その賃借人からインボイスの交付を求められることがあるようです。あくまでもインボイスに対応するか否かは組合次第(任意)ですが、賃借人にとってはインボイスがもらえないことによって損失を被るおそれがあります。

だからといってインボイスにしてしまうと、管理組合に消費税の納税義務が生じてしまいます。慎重な判断が求められます。ただ、消費税の税負担が生じたとしてもそれは「損」ではなく「益税」がなくなるだけ、との見方もあります。

ちなみに、ある取引について消費税がかかるか否かや、適用税率が何パーセントかはあくまでも取引内容に応じて決まるものです。インボイス対応/非対応は影響しませんのでご注意ください。

私見としては、インボイス対応してしまうと税負担のみならず税務手続きの手間が増えてしまいますのでインボイス対応しない、また、インボイス対応しないことによる取引条件の不利改定には断固対抗するのがよろしいかと思います。

(もくじに戻る)

Q5.役員報酬は源泉徴収すべきか?

所得税法第六条(源泉徴収義務者)において「給与等の支払をする者(中略)は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある」と定められていますので、もし仮に役員報酬が給与等に該当するものであれば源泉徴収する必要があります。

ですので、源泉徴収の要否を判断する上で、管理組合が理事などに支給する「役員報酬」が給与等に該当するかどうかがポイントとなりそうです。

私見を述べますと、区分所有法や標準管理規約(規約は組合ごとに多少の差異があるかと思いますが)をもとに考えますと、組織の在り様・役職とその職務が法人の役員そっくりです。このことから理事などに支給する役員報酬は給与等に該当するのではないかと思います。したがって、源泉徴収が必要なんだろうと思います。そのことを鑑みると、役員報酬を支給するのはあまり良策ではないと思います。

なお、甲欄適用者であれば88,000円未満であれば税額は0円ですが、乙欄適用者であれば少額でも源泉徴収税額が生じます。

(もくじに戻る)


前のページに戻る